2024年
4月
3日
|
12:45
Europe/Amsterdam

メンタルの強さとレジリエンスを向上させるには

読書時間: 4 分

人生とは思いがけない時に思いがけないことが起こるものです。

感情の渦を乗り越えていけるのか、試されるような状況に追い込まれることも少なくありません。それが人間関係の終焉であれ、やりがいのない仕事や健康上の懸念であれ、不安に陥ることなく冷静に舵を切って進むのは至難の技に思えるでしょう。すべてが順調だったとしても、いつまでもそうとは限りません。それは、私たちが皆経験したように、世界的なパンデミックのような事態があらゆる計画を突如ひっくり返すことがあるからです。

試練の日々はやがて過ぎ去っていきます。それまでは困難に思えるかも知れませんが、物事は良くなっていくという事実に意識を向けて、自分自身の精神力と回復力を頼りに待つことが大切です。

精神的な強さと回復力 – 両者の違いとは

精神的な強さと回復力は密接に関連していますが、両者には違いがあります。いわゆる回復力は発生した状況に対処する能力のことで、レジリエンスと呼ばれます。レジリエンスがあることと、精神的に強いということは同じ意味ではありません。何らかの物事に対処すること自体は可能であっても、それがポジティブな方法でできるのか、歯を食いしばって我慢して、ただ時が過ぎるのを待つのか、で差が出てきます。

メンタルの強い人とは、ストレス要因やプレッシャー、課題に効果的に対処し、自分が置かれている状況に関係なく、自分の能力を最大限に発揮できる人です。1

この違いは微妙ながら重要なものです。それは、生き残りにとどまるのか、繁栄していくのかの分かれ道になるからです。

より良い人生の礎は、精神的な強さで築かれます。強いメンタルはどんなことがあっても対処できる仕組みとして機能するだけでなく、社会で有意義な人間関係を広げるにも、自信をもって新しいことを試してみるにも役に立ちます。最良の点は、精神力を高める努力は、今いる場所で、いつでもできるということです。メンタルを強くするためのヒントのトップ3を見ていきましょう。

  • 前向きに考えることを学ぶ

言うだけなら簡単だろうと思われるかも知れませんが、期待したほど自然には身につかなくても、よりポジティブに考えることは学習できます。海軍特殊部隊やオリンピック選手を見れば、何かを達成するのにどれほど心の力が役立つかが分かります。ポジティブ思考への第一歩は、自分がネガティブになっている時、その事実に気づくことです。そして、自分を責めるのではなく、あるがままを認めて、それを変える努力をすることです。「失敗するかも」と考えるのではなく、「成功するかも」と自分に言い聞かせてみて下さい。結果的に成功しなかったとしても、ベストを尽くしたのならそれで良し、としましょう。前もって自分がどんな感じ方をしたいか決めておくだけで、実際の感情を受け入れやすくなるということはよくあります。ポジティブに考える、と心に決めれば、ポジティブ思考は向こうからやってきます。これは、マニフェスト – すなわち具現化、願望実現として知られています。朝元気に目を覚ましても、一日中周りの人から具合が悪そうだと言われ続けたら、おそらく夕方までには本当に不調を感じるようになってしまうでしょう。常に自分に向かって幸せになるように言い聞かせていれば、その感情が具現化されて、実際に幸せな気分になる可能性が高まります。

  • 瞑想して自分のための時間を確保する

多方面で責任を負い、忙しく立ち回る世界にいるからこそ、時にはペースを落として自己内省に集中できるようにすることも大切です。瞑想は心を落ち着かせ、今この瞬間に存在することに立ち返るすばらしい方法です。リセットしたその時点から、フレッシュかつポジティブな視点で物事に向き合っていけるようになるでしょう。瞑想やマインドフルネスがうつ病につながるDNAを分子レベルで覆すという驚くべき可能性を示した研究もあります。2 コベントリー大学の心理学研究所(Centre for Psychology, Behaviour and Achievement)で脳・信念・行動について研究するイヴァナ・ブリック博士によると「ヨガや瞑想のような心身への介入がもたらす健康上のメリットを享受している人は世界中に何百万人もいるが、あらゆるメリットはおそらく本人の知らないうちに分子レベルで始まり、遺伝情報がその行方を変更している可能性がある」とのことです。博士の研究では、瞑想のような活動が細胞に残す分子署名でヒトの遺伝子の発現方法が変わり、ストレスや不安の影響が逆転する、と説明されています。

  • 体を動かす時間をつくる

メンタルの強さに関して言うなら、体も心と同じくらい重要です。心身の健康は密接に結びついており、どちらかが損なわれれば、もう一方も損なわれる可能性があります。運動がセロトニンとドーパミンという「快感」物質の脳内濃度を高めることは研究で明らかになっており、3 この物質の作用により、うつを軽減し、すっきりとした頭で落ち着いて集中できる状態に導かれます。

子どもたちにレジリエンスを

特に子どもは周囲の人の行動に強く影響されます。まるで小さなスポンジのように、見たものや学んだことを吸収していくので、子どもたちの手助けをする前にまず、周りの大人が自ら精神力を鍛えることが大切なのです。

子どもは他人から学びます。ですから、子どもを大切にし、子どもの利益を一番に考え、子どもに良い影響を与えてくれる人、つまり友達、家族、先生、コーチといった存在に接する機会を促しましょう。子どもたちには、自分はひとりぼっちではないこと、自分の利益を一番に考えてくれる人たちがいること、サポートが必要なときはいつでも頼れる人がいることを教えてあげましょう。

創造性や戦略を用いる遊び方は、子どもにとって自主的に学ぶ良い機会となるので大切です。例えばボードゲームは、衝動をコントロールし、我慢して交代することの必要性を教えるのに最適な方法であるだけでなく、状況が急に変わっても柔軟に応じる精神力を鍛え、より良い結果を得るために考え方を変える練習ができます。

助けを求めることを怖れない

メンタルを強くするには、時間も練習も必要です。思うようにいかなくても、自分は一人きりではないということを忘れないで下さい。人生は時に厳しいものです。乗り越えることに困難を感じるのは恥ずかしいことではありません。自力で対処できるかどうか分からないと感じたら、友人や家族、専門家など、誰かに自分の気持ちを話してみるのが一番です。悲しい、怒っている、イライラしている、ストレスを感じている、不満を感じやすい、といった感情に気づいたら、うまく対処できていない可能性があります。誰かに助けを求めるべきサインとして見逃さないで下さい。

  1. https://www.mentaltoughness.partners/developing-mental-toughness-peter-clough-doug-strycharczyk/ []
  2. https://www.sciencedaily.com/releases/2017/06/170615213301.htm []
  3. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1600-0838.2009.01049.x []

関連記事

その他のウェルネストピック