2024年
1月
3日
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瞑想がもたらす10のメリット

読書時間: 7 分

瞑想を実践する人はここ数十年で急増しています。経験者はもちろん、その周囲の人々の目にも、瞑想の癒しの効果は明らかです。今日では、ビジネスマンやプロのアスリート、そして子どもたちまでもが、瞑想で心と体の両方を穏やかにする方法を学んでいます。

ホリスティックな瞑想のメリットは多岐にわたり、不安や抑うつなどの精神的な問題を軽減し、ストレスや怒りを自然に管理することができます。痛みの緩和や心臓の健康増進、睡眠パターンの改善などの身体的効果も広く知られています。

継続することで、免疫力の向上、気分の高揚、人間関係の改善、全体的な幸福感の上昇など、様々な効果が期待できます。

((https://www.nhs.uk/mental-health/self-help/tips-and-support/mindfulness/))

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最大のメリットはおそらく、瞑想には悪い副作用がないということでしょう。自分に合っているかどうかはともかく、やってみて損をすることはありませんから、ぜひ試してみて下さい。

瞑想と科学

古代から行われてきた瞑想については、何千年もの間に多種多様な集団で宗教的、精神的、学術的、科学的に研究されてきた記録が残っています。現代に生きる私たちは、ジムのクラスや地域のグループに参加したり、携帯アプリを使ってデジタル瞑想を体験したりしています。

ところが「瞑想とは何か」の定義は定まっていないため、効果を科学的に証明するのは困難です。

実際に瞑想を行っている人に聞けば、それぞれに異なる答えが返ってくるでしょう。それは唯一の「瞑想法」というものがないからです。瞑想のやり方は、宗教、文化、信仰によって異なり、種類も様々です。多くの人にとって聞き覚えがあるものといえば、マインドフルネス、スピリチュアル、禅、トランセンデンタルあたりでしょうか。

何千年も前から受け継がれてきたあらゆるものと同様に、瞑想も時とともに進化し、個人化され私的なものになっています。とはいえ、瞑想する誰もが同意することがひとつあります。それは、瞑想のメリットは数多く、重要であるということです。

瞑想の作用が科学的な観点から理解され、主流の医療の一部として取り入れられるようになったのは、ごく最近のことです。

ジョンズ・ホプキンス大学医学部の助教授で、瞑想が健康にもたらす影響について研究しているマダブ・ゴヤール医学博士は、次のように述べています。

「不安や抑うつ、慢性的な痛みを抱えている人の治療や補助的療法に(瞑想を)臨床的に用いることについては、推奨に足る良好な根拠があると言えます」(ゴヤール博士)

((https://www.prevention.com/health/a22679621/health-benefits-of-meditation/))

一方、BUPA社はレポートで次のように言及しています。

「調査によると、瞑想は英国で好まれているウェルビーイング・セラピーであり、英国の成人の4分の1以上(26%)が過去5年内に精神面の健康を向上する方法として瞑想を行ったと回答しています。同期間に瞑想をやってみた男性は約3分の1(30%)であるのに対し女性は18%と、男性で倍近い積極性が見られました。」

((https://www.bupa.com/newsroom/news/meditation-brits-favourite-wellbeing-therapy))

瞑想の起源

瞑想という言葉は、ラテン語で「熟考する」を意味する「meditatum」に由来します。

瞑想の最古の記録は紀元前1500年頃のインドにあり、ヒンドゥー教の伝統であるヴェーダーンタ哲学に関連した記述が残っています。しかしながら、歴史的にはそれ以前、紀元前3000年頃には瞑想が行われていたと考えられています。

時を経て瞑想は東洋から西洋へと広がり、1927年には「チベット死者の書」の英訳版が出版されました。瞑想は世界の隅々にまで行き渡り、特に西洋人の注目を集めて関心が高まりました。

瞑想の方法

ブッダの有名な言葉にこうあります。

「過去にとらわれるな。未来を夢見てばかりいてもいけない。今この瞬間に集中なさい。」

今現在に生きる心を取り戻すには、瞑想が有効です。
自己の内側に目を向け、心身を落ち着かせて、穏やかで安定した、明晰な状態に導きましょう。

瞑想は誰にでもできるという点で優れています。あなたが何者であるか、どこにいるかは関係ありません。根気よく練習すれば、誰でもできるようになります。

途中で気が散ったり、頭が混乱したりしても気にする必要はありません。落ち着いた穏やかな状態になれるまでは、ある程度時間がかかるものです。まずは身辺のノイズを取り払ってリラックスする時間をとりましょう。毎日5分から始めても効果は期待できます。

試してみたいと思ったなら、早速始めましょう。簡単な瞑想のステップを6段階でご紹介します。

  1. 座る。座り心地の良い椅子や床のある静かな場所を見つけて下さい。瞑想している間、途中で寝てしまわない程度に快適に過ごせることが大切です。
  2. 時間制限を設ける。瞑想初心者は短めに設定するとよいでしょう。5分から10分くらいが理想的です。練習を重ねていくと、時間をのばすことができます。
  3. 自分の体に意識を向ける。腕の力を抜いて、そっと下ろします。手は膝の上に置いても構いません。足は組まずにそのままにしておきましょう。椅子に座った状態で、目を閉じるか、視線を下げるか、あるいは焦点を一ヶ所に定めて下さい。ロウソクの炎を利用する方法もありますが、目に負担がかからないよう要注意です。
  4. 呼吸する。息を吸ったり吐いたりしながら、自分の呼吸に耳を傾けます。体が落ち着いていくのを聞きましょう。
  5. 心がさまよい始めたら。どんな人の心も揺れ動くものですから、気が散ってもイライラせずに、呼吸に意識を戻して続けて下さい。最初は難しいかも知れませんが、練習すれば次第に簡単になっていきます。
  6. 終了。時間になったら目を開き、視線を上げてみましょう。急がず慌てず、ゆっくりと立ち上がります。体で何か変化が感じられるか、心の中はどうか、確かめて下さい。

瞑想のメリット トップ10

心身全般の健康を侵襲性のない方法で改善できるのは、瞑想を実践している人にとって大きなメリットです。具体的なメリットのトップ10を以下にご紹介します。

  • 不安や抑うつを軽減

ハーバード大学の医学研究者であるジョン・W・デニンガー博士は、次のように述べています。

「瞑想は、持続的な集中力を獲得し、ネガティブな思考や感情、身体的な感覚が侵入してきても集中力を取り戻せるように脳を鍛えます。」

抑うつや不安を生じる脳内の特定の部分に瞑想が働きかけることは研究で明らかにされています。瞑想を毎日行うことで、ネガティブな感情を大幅に軽減し、症状を長期的に和らげることができます。

  • ストレス管理で心身の健康を増進
    瞑想はストレス管理に有効な療法となります。瞑想を定期的に行っているとコルチゾール(ストレスホルモン)が大幅に低下することは研究でも示されており、ストレスに悩む人が経験する一般的な症状を自然に安定させることができます。

    ある研究(Bostock, Crosswell, Prather & Steptoe, 2019)では、専門家が職場に瞑想を導入することで、仕事の効率が上がり、燃え尽きを減らし、配慮が行き渡りやすくなることが明らかになりました。
  • 痛みの管理と治癒の促進
    瞑想で痛みの軽減を試みた研究では様々な結果が出ていますが、痛みの管理をより効果的に行うことの利点はよく知られています。NCCIH(アメリカ国立補完統合衛生センター)の研究によると、マインドフルな瞑想は体の痛みの感覚を軽減し、しかも脳内の天然鎮静物質を使わないことが分かっています(Cherkin 他 2016)。

    ストレス軽減の専門家、ジョン・カバット・ジン氏は、痛みに対処する瞑想として、ボディスキャンというマインドフルネスの方法を学ぶことを推奨しています。ボディスキャンは、痛みを完全に消し去ることではなく、痛みの存在を認め、そこから学びを得て、最終的に痛みを管理することを目的としています。
  • まず、横になります。
  • 目を閉じて、呼吸に集中します。
  • 痛みのある部分に意識を向けます。例として、右足を意識してみましょう。
  • 足の痛みやその他の感覚に集中して下さい。
  • 意識がそれてしまったら、足と呼吸に戻します。
  • 足の痛みを感じながら、その痛みに伴う思考や感情を認識し、呼吸を整えましょう。
  • 痛みが消えることを期待せず、そのままにしておきます。
  • 次に、左足にゆっくりと優しく意識を移し、同じプロセスを繰り返します。
  • このプロセスを全身に繰り返します。
  • 何かを判断しようとせずに、穏やかな呼吸に集中して下さい。実践は始まったばかりですから、自分を優しく見守って下さい。

ジョン・カバット・ジン氏のガイドはこちらからご覧いただけます。
((https://www.health.harvard.edu/pain/body-scan-for-pain))

  • 健やかな感情と気分の向上
    人が悲しみやネガティブな感情を抱く理由は様々ですが、あまり続くと、精神状態の長期的な悪化を招き、回復が難しくなります。
    しばし世界から離れ、今ここで自分だけに向き合う時間と空間を確保すると、非常に大きな力が働いて、自分自身をより明確に見ることができます。

    オックスフォード・マインドフルネス・センターの元ディレクター、マーク・ウィリアムズ教授は次のように提言しています。

    「瞑想とは、浮かんでは消えてゆく自分の考えや感情に気付くこと…それは、今この瞬間をはっきりと見る機会を自分に与えることです。そうすれば、自分自身や人生に対する見方をポジティブに変えることができます。」

     
  • 認知力の向上
    心の中の雑念を払うことを学ぶと、知識の処理と保持能力に大きな影響を与えます。定期的に瞑想を行って、注意力や集中力を高めましょう。
     
  • 睡眠の補助
    疲れているのに思うように眠れない、と感じている人は少なくありません。一旦眠りにつくことができても夜中に目が覚めてしまい、何時間もイライラと天井を見つめてしまう人もいます。
    定期的に瞑想を行って、心をしずめ、呼吸に集中する練習をしてみましょう。やがて、雑念や心の声を取り除き、静かで平穏な心を得られるようになります。瞑想をマスターすると、規則的な睡眠サイクルの回復に役立ちます。きっと今より楽にぐっすりと眠れるようになるでしょう。
  • 記憶力の向上
    長期的な研究により、日常生活での注意力や集中力を高めると、より多くの情報や記憶を保持できるようになることが分かってきました。

    アルツハイマー症の専門誌(Journal of Alzheimer’s Disease)のオンライン版に掲載されたある研究では、瞑想は脳内の血流を増加させ、記憶力を向上させる、との結論に達しています。研究チームの一人であるダルマ・シン・カルサ医学博士は、被験者それぞれに合った瞑想法を考案しました。
    カルサ博士は WebMD のインタビューで「1日12分しかかからず、簡単に習得でき、費用もかからず、副作用もない」テクニックが「記憶に問題を抱える人々の記憶喪失を反転する」と述べています。
  • 集中力を高め明晰に
    コロンビア大学医療センターの研究者は、瞑想でリラックスすると脳の構造と機能が変化し、集中力や学習の集中力が高まると主張しています。
    瞑想はシンプルなプロセスで、呼吸に耳を傾け、今現在に留まることを可能にします。脳を鍛えることにより、気が散ってしまっても、呼吸に戻って集中し直すことが自然にできるようになります。
  • 依存症からの回復をサポート
    ホリスティックな作用のある瞑想は、依存症からの回復を支援するツールとして利用されることが増えています。メリーランド依存症回復センターの見解は以下の通りです。

「特にアルコールその他の依存症の回復に瞑想が重要なのは、行動の一貫性、規律、明晰なメンタルの促進、身体的な健康といったような、回復支援に不可欠な複数の分野で手助けとなるからです。総じて瞑想には、絶え間ない心のざわめきを鎮める働きがあるのです。」

  • 思いやりと共感力を高める

     

誰かの幸せを願うなら、思いやりを実践しなさい。自分が幸せになりたいのなら、思いやりを実践しなさい。ダライ・ラマ

「慈悲の瞑想」は、個人が自己中心的な考えから離れて、苦しんでいる他者を意識する強力な瞑想法です。瞑想を通じて、苦しみを和らげるために次の一歩を踏み出すよう、促します。

他者の癒しと幸福に焦点を当てるこの種の瞑想の実践は、自然に自分自身をも癒します。

新たな展開

瞑想の進化に伴い、新しく魅力的な実践方法が生まれています。例えば、こんな方法もあります。

「ベディテーション」
ベッドとメディテーションを合わせたベディテーションは、夕刻や就寝前の瞑想を習慣にして、安眠やリラクゼーションを促すものです。
((https://www.nhs.uk/conditions/nhs-fitness-studio/bedtime-meditation/))

「テクノメディテーション」

電子音楽を使用して行う瞑想です。

((https://www.bbc.co.uk/programmes/articles/2GPxB9sXQ04Jx92vG3S62Fs/10-relaxing-ambient-albums-for-meditation))

「アプリ瞑想」

携帯端末にアプリをダウンロードしておくと、いつでもどこでもアクセスでき、外出先でも簡単に瞑想を行うことができます。自分の心の内側に目を向けたいときに利用してみましょう。穏やかな音楽と導入の案内を組み合わせたものもあれば、穏やかな音声ガイドに従って行うものもあります。

((https://www.bbc.co.uk/programmes/p09668p5))

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