2024年
1月
9日
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友情とメンタルヘルスの関係とは

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友情とメンタルヘルスの関係とは

生涯のどの時点であっても、友情を育むことは大切です。友情とメンタルヘルスには本質的な関連性があり、友情の価値を実感することは心の健康にプラスに作用します。

人が社会集団やサブカルチャーに影響されることは何度も立証されていますが、高齢者には特にその傾向があるそうです。日々のライフスタイルや健康にまつわる選択まで、友人関係に大きく左右されます。

友情が生きがいに

深く強くつながってきた友情があれば、あらゆる経験に意義を見出すことができます。友達はいわば自分の人生の証人です。最高の瞬間を目の当たりにしたこともあれば、最悪の時期を支え合ったこともあるでしょう。

友達の存在があるからこそ自分の価値観が守れるとも言えます。真の友情は励ましや支えになるだけでなく、相手のためにもより良い人間でありたいという動機になります。例えば一緒にエクササイズする仲間がいると、互いに励まし合うことができます。これに限らず、交友そのものがあらゆる機能を良好に保つ助けとなります。

メンタルヘルスにもたらすメリットは家族関係より大きい可能性も

「血は水よりも濃い」と昔から言われるように、友人関係よりも家族が優先されることはよくあります。家族はもちろん大切です。家庭で生まれ育ち、新たな家庭を築くのが人の営みというものです。ところが健康面の利点に着目すると、友情の大切さも劣るものではありません。

少し前に、高齢者の健康状態に及ぼす家族と友人の影響に着目した大規模な研究が行われました。1   その結果、年をとるにつれて人は意義ある人間関係により重きを置き、そうでない場合は疎遠になる傾向が示されました。ただし家族関係については一筋縄ではいかないようです。相手が家族の場合、さほど深く交流していないからといって関係を切るわけにはいきません。これに対して、友人関係はより流動的で様々な進展を遂げる可能性のあるものです。家族は選ぶことも替えることもできません。酷に聞こえるかも知れませんが、友達は選ぶも替えるも自由です。

年を重ねるにつれて人生を振り返ることが多くなりますが、表面的な付き合いに終わらない、深い友情ほど真価をもたらします。

歳月を経て強まってきた友情は柔軟性を兼ね備えています。家族の一員として介護や世話を引き受けることには義務感が伴う可能性がありますが、友情で結ばれた関係ではあくまでも自発的な意思で支え合うことができます。

脳の認知機能にも良い友情

高齢になっても社交的な人は、認知機能の低下という観点でも統計的に大きな違いがあります。ある研究では、頻繁に友達と過ごす高齢者はそうでない人と比べて認知機能の低下率が70%も低かったと報告されています。2

小学校時代の友達はもういない、という人も恐れることはありません。今からでも人と関わる機会は増やせます。信仰のある人なら、信者のグループに参加したり、新たなグループを作ったりできます。地元で高齢者向けに提供されている機会もチェックしてみましょう。ウォーキングのクラブや読書会など、色々な趣味の集まりが開かれているはずです。

年齢などただの数字です。自分と同じ年齢層にこだわる必要はありません。メンターとして青少年と関わる機会を探してみてもよいでしょう。自分と異なる年齢層のグループに声をかけるのも一案です。地元の図書館で学習支援プログラムなどの手伝いが必要とされているかも知れません。人とのつながりを求める人の集まる場なら、有意義な絆を望む気持ちも受容されやすいでしょう。最後になりますが、価値ある友情がすでに存在するなら、それを大切にして下さい。友人との関係は喜びをもたらしてくれるだけでなく、メンタルヘルスの観点からも大いにメリットのあるものなのです。

  1. Chopik, William J. “Associations among Relational Values, Support, Health, and Well-Being across the Adult Lifespan.” The Health and Retirement Study—The National Institute on Aging,vol. 24, no. 2, Apr. 2017, pp. 408–422, doi:10.1111/pere.12187 []
  2. James, Bryan D., et al. “Late-Life Social Activity and Cognitive Decline in Old Age.” Journal of the InternationalNeuropsychological Society, vol. 17, no. 6, Nov. 2011, pp. 998–1005, doi:10.1017/s1355617711000531 []

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