2024年
1月
9日
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卵がヘルシーな理由

読書時間: 7 分

卵の健康効果

卵は体に良いのでしょうか。この疑問は長い間議論の対象となってきました。それは、多くの人が卵と聞くと体に有害なコレステロールやその悪影響を連想するからでしょう。しかしながら、卵に健康上重要な多くの栄養素が含まれていることは研究により示されています。 1 鶏卵は私たちの食生活に欠かせない存在なのです。

卵に含まれる栄養素

卵は必須栄養素の宝庫です。質の高いタンパク質がたっぷりで、多種多様なビタミン、ミネラル、微量元素も含まれています。 2 卵は生物価の高い食品でもあります。生物価とは、食品に含まれるタンパク質がどれだけ効率よく体内のタンパク質に変換されるかを示す指標です。卵のスコアは抜群で、生物価は最大100%近くなります。 3 つまり、卵のタンパク質はほぼ全てが体内のタンパク質になるのです。

生卵の生物価はわずかに低い 4 ので、体内でタンパク質になる効率の高さという点で考えれば、卵は調理して食べる方がより健康的と言えます。

ビタミン

卵の殻の中には、人間にとって欠かせない必須ビタミンが詰まっています。たったひとつの卵に、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB12など各種のビタミンとミネラルが入っているのです。5 卵に含まれる栄養素は、白身と黄身で異なります。卵黄には卵白よりもはるかに多くの栄養素が含まれています。卵白の主な栄養はタンパク質、ナトリウム、カリウムで 5 卵黄にはビタミンDなどの価値あるビタミン類と脂肪、コレステロールなどが存在します。5 ですから、脂肪とコレステロールを避けるために卵黄を避けて卵白だけ食べていると、体に良い多くの栄養素も逃すことになります。

単純に量で見た場合、卵の主要ビタミンはビタミンAです。5 ビタミンAは視力や粘膜など正常に保つのを助けます。卵はビタミンB群も豊富です。体内の多くの過程で重要な役割を果たす必須ビタミンB12も含有しています。ビタミンB12は神経系と免疫系の正常な機能に寄与します。

また、卵が健康に良い食材である理由は、ビタミンAとビタミンB12の含有量だけではありません。以下のように多くのビタミンで体をサポートしてくれます。5

  • ビタミンB2(リボフラビン)は、正常な視力とエネルギー代謝を維持し、酸化ストレスから細胞を保護するのに役立ちます。
  • ビタミンB6は、とりわけ、神経系と免疫系の正常な機能に寄与します。また、ビタミンB6は、正常なタンパク質とグリコーゲンの代謝にも関与しています。
  • ビタミンDは、カルシウムとリンの利用を正常に行う上で役割を果たし、正常な骨と筋肉機能の維持をサポートします。

ビタミンDの含有量は植物性食品よりも高く、卵黄1個で5.4マイクログラムのビタミンDが摂取できます。 5

  • ビタミンEは、酸化ストレスから細胞を保護するのに役立ちます。
  • ビタミンKは、正常な血液凝固と骨の維持に貢献しています。
ミネラル、微量元素

卵はビタミンのほぼ全種に加えて、多くの必須ミネラルを体に提供します。ミネラルは直接体にエネルギーを供給するものではありませんが、組織や細胞、骨、歯の発達には欠かせません。 6 例えば、カルシウムとリンは、歯や骨を構成する重要な物質です。卵を食事に取り入れて、カルシウム、リン、ナトリウムなどのミネラルをしっかりと体に取り込みましょう。リンはまた、細胞膜の正常な機能と正常な骨や歯の維持にも寄与します。

定義上ミネラルに該当する微量元素は体内にはごく微量にしか存在せず、ごく少量しか吸収されない物質です。主な微量元素には、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素があります。7 卵は鉄と亜鉛をはじめ、多くの重要な微量元素を含有している点でも体に良い食材です。5 亜鉛は正常な皮膚や髪の毛、爪の維持、そして免疫系の正常な機能をサポートする、体にとって重要な微量元素です。

卵には、亜鉛、銅、ヨウ素に加えて、貴重な微量元素である鉄分も含まれています。鉄は赤血球やヘモグロビンの正常な形成、さらには体内の酸素の正常な輸送に寄与するため、血液にとって特に重要です。

タンパク質とアミノ酸

卵白と卵黄には同等のタンパク質が含まれています。5 タンパク質は筋肉量の増加と維持に役立ちます。アスリートの間でタンパク質の豊富な食事が好まれているのは、筋肉増強をサポートできるからです。フィットネスに熱心な人にとって、プロテインは単なる栄養補給ではないのです。タンパク質は、脂肪や炭水化物とともに三大栄養素に数えられ、かなりの量が体に必要とされます。一方、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素は、もちろん重要ではありますが、必要な量はごくわずかです。8

卵が体に良いのは、含有するタンパク質のバランスが優れているためでもあります。卵には、食べ物から吸収するしかない必須アミノ酸 5 9種類の全てが含まれています。私たちが食べるものに含まれるタンパク質は、体内で分解されてアミノ酸になります。それは、体内ではこの形でしか利用できないからです。アミノ酸の働きは、特に筋肉を作る過程で必要不可欠であり、それがアスリートの食事において重視されている、というわけです。

健康的なタンパク源を毎日食べることは重要です。卵はまさに理想的です。低炭水化物、体に良い脂質、高タンパク質と多量栄養素の配分に優れているだけでなく、重要な栄養素が理想的に組み合わさっている卵には、他にも多くの健康効果があります。

微量栄養素、コリンとビオチン

卵に含まれる重要な栄養素には、コリンとビオチン 5 という微量栄養素も含まれています。いずれも体内の重要な過程の多くに関与しています。コリンは卵に豊富に含まれている栄養素で、体内で生成することは不可能ではありませんが、大量には作れないので主に食物から摂取し、吸収する必要があります。コリンは、ホモシステインと脂質の正常な代謝に寄与し、正常な肝機能の維持に役立っています。

卵はビオチンも豊富です。ビオチンは髪や肌を正常に保つのを助けるので、卵は肌や髪にも良い食材とされています。また、ビオチンは多量栄養素の正常な代謝や神経系の正常な働きをサポートします。

嘘か本当か、卵とコレステロール

卵は体に良いのでしょうか。先に触れたように、卵のコレステロール含有量は、常にこの文脈で議論されています。相当な量のコレステロールが含まれているため、卵は長い間、不健康な選択肢と考えられてきました。コレステロール値の上昇は心臓血管系に悪影響を及ぼし、疾患につながるという説 9 があるため、コレステロール値の上昇を防ぐために、卵の摂取量を最小限に抑えることが長く推奨されてきました。ところが、ホルモンの生成やビタミンDの生成など、コレステロールが体内で多くの貴重な働きをしているのも事実です。コレステロールは体内で産生できるので、食事からコレステロールを摂取する必要はないとされています。 4

一方、卵を食べてもコレステロール値にほとんど影響がないことが研究で示されるようになりました。 10 健康な人の体内では、血中コレステロール値をほぼ一定の水準に維持する仕組みが働いて、適宜調節されています。このメカニズムは、コレステロールが食事を通じて追加されるかどうかとは無関係に機能します。 4 ですから健康な人には卵を食べることに関連したリスクはなく、むしろ健康的な食生活に含めるよう推奨されています。卵には多くのビタミンや貴重な栄養素が含まれているだけでなく、レシチンも含まれています。レシチンはコレステロールに結合し体内への吸収を抑制する性質があります。コレステロールが含まれていても卵は健康的な食材です。バランスのとれた食事に積極的に取り入れましょう。4

卵は何個までなら健康的に食べられるか

卵は何個までなら健康的な範囲で食べられるのか、という質問はよく聞かれます。研究により卵がコレステロール値に及ぼす影響がさほどではないことが示された今、卵は毎日摂取しても問題ないと考えられています。しかしながら、ドイツ栄養協会(DGE)は食べるなら週に3個までを推奨しています。11 総じて一般的には、卵はほどほどに食べれば健康に良いと言えそうです。4

卵を使ったヘルシーなレシピ

卵はお気に入りのヘルシーな食品に組み合わせて簡単に取り入れることができます。卵を使う場合も健康的な食生活の鍵はバラエティの豊かさにあります。卵は実に多彩な調理ができる素材で、朝食、昼食、夕食、おやつにも使えます。卵を使ったヘルシーなレシピには、おいしくて短時間で用意できるものがたくさんあります。また、卵に含まれる栄養素の多くは、調理しても大幅に減ることはありません。とはいえ、卵に火を通す場合は最低限にするのが良いでしょう。

定番のゆで卵

ゆで卵は特に朝食でよく親しまれている定番の一品です。好みに応じて、固ゆでにしたり、やわらかめにゆでたりすることができます。ゆで卵はヘルシーなだけでなく、汎用性も高いのが特長です。固ゆで卵はサラダに最適なだけでなく、ヘルシーでおいしいパンとの相性も抜群で、サンドイッチの良い具材になります。低カロリーでありながら満腹感を長時間持続させることができるので、外出先での軽食にも最適です。

基本の卵料理

基本の卵料理といえば、卵焼きにスクランブルエッグ、目玉焼きを抜きにしては語れません。ほぐした卵を巻くにしても、スクランブルエッグにしても、フライパンに丸ごと割り入れて焼くにしても、すぐにヘルシーな卵料理が出来上がります。どのレシピも好みに合わせてアレンジすることができ、選択肢は無限大です。目玉焼きだけでも、片面を焼くか両面を焼くかといったバリエーションがあります。スクランブルエッグなら、さらに幅が広がります。お好みで牛乳を加えたり、タマネギなどの他の材料を加えたりしてもよいでしょう。

オムレツとフリッタータ

オムレツやフリッタータは、卵をボウルに入れてほぐし、弱火で火が通るまで優しく焼き上げます。スクランブルエッグとの違いは、調理中にかき混ぜないことです。フリッタータにはよく野菜が加えられます。卵と組み合わせることで、より長く満腹感を得られるヘルシーな食事になります。簡単に応用がきくので、オムレツやフリッタータは残り物の野菜を使い切るにも最適です。

卵は健康的でバランスのとれた食生活に重要な食材です。

全身に役立つ栄養素がたくさん含まれている卵は、免疫力を高めるにも、筋肉の成長をサポートするにも、個人のパフォーマンスを向上させるにも有用です。バランスのとれた食事の一部として卵を使う方法を覚えて、様々な面から健康をサポートしましょう。

  1. https://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/food-features/eggs/ []
  2. https://www.egginfo.co.uk/egg-nutrition-and-health/egg-nutrition-information []
  3. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3905294/ []
  4. https://www.bzfe.de/inhalt/eier-gesund-essen-4168.html [] [] [] [] []
  5. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6470839/ [] [] [] [] [] [] [] [] [] []
  6. https://www.tk.de/techniker/magazin/ernaehrung/essen-und-wissen/mineralstoffe-spurenelemente-2004778 []
  7. https://www.tk.de/techniker/magazin/ernaehrung/essen-und-wissen/mineralstoffe-spurenelemente-2004778 []
  8. https://mynutrition.wsu.edu/nutrition-basics []
  9. https://www.dge.de/presse/pm/cholesterinwerte-im-griff/ []
  10. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5946211/ []
  11. https://www.dge.de/ernaehrungspraxis/vollwertige-ernaehrung/ernaehrungskreis/ []

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