2024年
1月
8日
|
14:51
Europe/Amsterdam

エコセラピーを探る

読書時間: 4 分

外に出て本当に大切なことに向き合うと…

外に出て新鮮な空気を吸ったり、運動したりすることは、身体の健康に良いだけでなく、心の健康にも良いと言われています。このことに特別な驚きは感じられないかも知れませんが、自然との触れ合いに基づいたセラピー、いわゆるエコセラピーが、ストレスや不安、つらい時期を経験している人の間で実践的な対処法として人気を集めていることをご存知でしょうか。

エコセラピーは自然療法の一種で、自然環境の中に身を置いて自然とつながることでもたらされる利点に着目したアプローチです。 1 アウトドア活動に参加したり、自然と触れ合ったりすることで、心と体をよみがえらせるのが狙いです。

新鮮な空気を味わい、自然の美しさを愛で、季節の移り変わりを体験しているうちに、日々の生活に忙殺されていると見逃しがちなちょっとした物事に気付くようになります。

ストレスやうつ病などの症状を軽減し、自尊心や自信を高めるための方法として、エコセラピーが処方された実例もあります。 2   

エコセラピーとは

エコセラピーのプログラムは都市部でも郊外でも参加者を募っており、グループで自然に直に触れる体験をしたり、自然と関わることができる活動を紹介したりしています。 3

そこでは積極的に活動に参加することや、スキルを身につけ共有することに重点が置かれています。また、身の周りの環境に意識を向けて、その時々の景色や音、匂いなどに気付くことも大切です。「今現在」に存在することに集中するのがポイントです。

エコセラピーのアクティビティには以下のようなものがあります。

  • 環境保全 – 植林や森林の手入れなど、環境保全に関わる実践的な活動をします。
  • 屋外での運動 – 公園でヨガや太極拳をしたり、田園地帯をグループで歩いたり、緑地で運動したりといった活動に参加します。
  • 園芸 – ガーデニングを行います。
  • 貸し菜園 – 自宅に庭がなくても自分で植えて育てた野菜を収穫して食べることができます。
  • アニマルセラピー – 動物の世話のしかたを学びながら触れ合いを楽しめます。

どのように役立つか

季節性感情障害(SAD)の症状を緩和するには、太陽の光を浴びるのが有効であることが知られていますが、エコセラピーにも同様の作用があります。

研究で軽度から中程度のうつ病を経験している人にエコセラピーを試したところ(カウンセリング、薬物療法、認知行動療法などの他の療法と一緒に行うことも)、屋外で有意義に過ごすことが自信と健康の向上につながると分かりました。

気持ちを落ち着かせてよりリラックスした状態になるよう助けることから、ストレスの緩和にも役立つとの報告もあります。気分が落ち込んでいるときやストレスが溜まっているときには、運動する気になれないのは自然なことです。何をするにも意欲が湧かない、という時もあるものです。それでも外に出て何らかの活動に携わり、新鮮な空気を吸って過ごすようにすれば、少しずつ解きほぐされて穏やかな気持ちになることができます。

また、人とのつながりを作る良い方法ともなります。うつ病やそれに関連した健康問題はしばしば孤立につながりますが、理解ある人が集まるグループの一員になることで、やりがいや気分の高揚を感じることができます。

自分でできるエコセラピー

エコセラピーが医療の一端で成果をあげていることは事実ですが、適用はストレスやその他の問題への対処に限られたものではありません。ポジティブでいるための一般論として、誰もが生活に取り入れることができます。

エコセラピーに関心はあるけれど、参加できそうなプログラムや一緒に参加できそうな人がいない、という場合でも大丈夫です。エコセラピーの基本を自分なりのやり方で生活の中に取り入れてみましょう。思考をクリアにし、体をリラックスさせて、心身とも健やかな状態になる方法はたくさんあります。

自然豊かな田舎に住む必要はありません。都市部でも公園や緑地が身近にあれば充分です。そうでなくとも、外に出るだけでも効果を得ることは可能です。

では、エコセラピーを生活に取り入れる方法をいくつかご紹介しましょう。

  • 玄関先の自然を見直しましょう。前庭の植物を手入れしたり、芝生を刈ったりしてみましょう。庭がない場合は、鉢やプランターを買ってきて、花やハーブを植えるだけでも楽しめます。
  • 何年も乗っていないかも知れませんが、自転車に乗ってみましょう。自転車はレンタルで構いません。安全に走れるサイクリングコースを見つけて、自転車で出発して下さい。サイクリングはとても良い運動で、気分を高揚させる快感ホルモン、エンドルフィンの産生を助けます。
  • 環境保全活動にボランティアとして参加してみましょう。地元のプロジェクトを探して、自分が手伝える仕事があるか問い合わせてみませんか。草刈りや切り戻しの作業など、自然の美しさを後世に残すことにつながる機会はたくさんあります。
  • 森の中を散策して木々を観察してみましょう。葉の色、木の実、森の中で暮らす野生動物をよく見ながら歩いていくと、生命の息吹が感じられます。自分もまた、そのネットワークの中にいるのだという感覚に浸ってみて下さい。
  • ビーチへ行ってみましょう。磯の水たまりを探検し、貝殻を集め、カモメの鳴き声に耳を傾けて、波が打ち寄せる様子を眺めましょう。波の音を聞きながらどこまでも続く水平線を眺めていると、心が落ち着くと同時に、謙虚な気持ちになります。抱えていた問題の大きさも違って見えてくるでしょう。
  • 自分だけのナチュラルアートを作りましょう。松ぼっくりや貝殻、海草、小石、葉っぱなどを集めてきて、どんなものが創作できるか、発想を広げて下さい。

自己流のプログラムを組んでしばらく続けてみると、充実感やひらめきが得られるでしょう。エコセラピーは誰もが恩恵を受けることができるものです。心身にメリットをもたらす上記のようなアクティビティは年齢を問わず家族でも楽しめます。

どの季節であっても自然の中でちょっとした工夫を加えて過ごすだけで、直面している課題やストレスの影響を軽減できます。さらに、より大きな世界へと視野を広げつつ、自分を取り囲むあらゆる物事に感謝の気持ちが感じられるようになるでしょう。

  1. https://www.psychologytoday.com/gb/blog/out-the-darkness/201204/the-power-nature-ecotherapy-and-awakening []
  2. https://www.webmd.com/balance/features/nature-therapy-ecotherapy#1 []
  3. https://www.mind.org.uk/media/2699029/making-sense-of-ecotherapy-2015.pdf []

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