2024年
1月
8日
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13:29
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クロムの働き

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クロムの働き – 大きな力を秘めた栄養素について知っておきたいこと

クロムは他の有名なミネラルほどは広く知られていないようですが、ミクロな細胞レベルで炭水化物や脂肪の代謝を助ける重要な栄養素です。クロムの魅力のひとつは血糖値を正常に保つ作用があることです。甘いものを欲する気持ちが和らぐという人も少なくありません。クロムは体内のインスリン受容体を活性化させることで血糖値の低下に役立ちます。 1 つまり、インスリンの働きを良くする作用があるのです。

クロムを摂取するには

私たちが摂取するクロムの大部分は全粒穀物や新鮮な野菜(特にトウモロコシやジャガイモ)、そして魚といった食品に由来します。ニュートリショナルイーストはクロムを最も豊富に含む食品のひとつです。プロテインパウダーやサプリメントで摂取することもできます。

バランスの取れた健康的な食生活を送っていれば、十分なクロムを摂取できていることでしょう。ブロッコリーやブドウ製品にはクロムが多く含まれています。 1

糖尿に悩む人にとってクロムが重要な理由

インスリンは糖を細胞内に取り込みエネルギーとして使うプロセスに役立つホルモンです。2型糖尿病(一般的なタイプ)の人の体内では、細胞がインスリンに反応しなくなります。これをインスリン抵抗性といいます。これに対して、比較的少ない1型糖尿病は小児糖尿病または若年性糖尿病とも呼ばれ、体内でインスリンが全く産生されません。

糖尿病の発症や進行を防ぐために最も重要なことは、生活習慣の改善です。食生活と運動は血糖の制御ができない状態にまつわるリスクを減らすのに必須の要素です。しかし、こうした生活習慣の改善は達成が難しいというのも事実です。

薬で糖尿病を管理したり予備軍の進行を防いだりする方法には、しばしば副作用が伴います。肥満の被験者に対するクロムのサプリメントの効果を調べたいくつかの研究では、インスリン感受性の改善が期待できる結果が出ています。2

研究者の間ではクロムがインスリン結合能を高めると考えられており、2型糖尿病とクロム不足との関連性も指摘されてきました。被験者の体内のクロムのレベルを正常値まで増やしたところ、同時に血糖値も低下したためです。

62,000人を対象に複数年にわたり調査した大規模な研究で、2型糖尿病の発症とクロム(クロム入りのマルチビタミン剤)の摂取について分析したところ、クロムのサプリメントを取っていた人は糖尿病になる確率が27%低かったということです。3

しかし、クロムが被験者の空腹時血糖値(前夜から8~12時間絶食した翌朝の血糖値)を低下させることに役立った可能性はあるものの、A1Cの値は必ずしも改善されなかったとする研究もあります。4

A1Cとは過去3か月間の血糖値の平均を把握するための血液検査です。

糖尿病でなくてもクロムは有用か

クロムが血糖値によい影響があるとする研究は、大抵が健康な人ではなく糖尿病患者を対象にしたものです。5 これは、健康的な食生活を送っていれば必要な量のクロムが摂取できるからかも知れません。

クロムの働きは糖尿患者でなくても有用です。特に、糖分の摂取を減らしたい、体重を減らしたいと思っているなら、注目したいところです。クロムが食欲の抑制に役立つことはいくつかの研究で示されています。6

糖尿病やその予備軍の方は、生活習慣の改善に加えてサプリメントでクロムを補給すべきか、医師に相談してみてはいかがでしょうか。今特に問題がなくても、健康維持のために必要量のクロムを摂取することは大切です。

  1. https://ods.od.nih.gov/factsheets/Chromium-HealthProfessional/ [] []
  2. Hua, Yinan, et al. “Molecular Mechanisms of Chromium in Alleviating Insulin Resistance.” The Journal of Nutritional Biochemistry, vol. 23, no. 4, Apr. 2012, pp. 313–319, doi:10.1016/j.jnutbio.2011.11.001.s []
  3. McIver, David J, et al. “Risk of Type 2 Diabetes Is Lower in US Adults Taking Chromium-Containing Supplements.” The Journal of Nutrition, vol. 145, no. 12, Dec. 2015, pp. 2675–2682, doi:10.3945/jn.115.214569. []
  4. Abdollahi, Mohammad, et al. “Effect of Chromium on Glucose and Lipid Profiles in Patients with Type 2 Diabetes; A Meta-Analysis Review of Randomized Trials.” Journal of Pharmacy & Pharmaceutical Sciences, vol. 16, no. 1, 2013, p. 99, doi:10.18433/j3g022. []
  5. Michelle D Althuis, Nicole E Jordan, Elizabeth A Ludington, Janet T Wittes. Glucose and insulin responses to dietary chromium supplements: a meta-analysis. The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 76, Issue 1, July 2002, pp. 148–6155, https://doi.org/10.1093/ajcn/76.1.148. []
  6. Anton, Stephen D, et al. “Effects of Chromium Picolinate on Food Intake and Satiety.” Diabetes Technology & Therapeutics, vol. 10, no. 5, Oct. 2008, pp. 405–412, doi:10.1089/ dia.2007.0292 []

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