2023年
12月
29日
|
14:34
Europe/Amsterdam

運動しても体重が減らないことがあるのはなぜ?

読書時間: 4 分

運動することで得られる健康上のメリットはたくさんあります。

単純に体重を減らすことを目的に運動するという人は少なくありません。ところが、運動に熱心に取り組んで週末に体重計に乗ってみると、実際には体重が減っていなかったり、むしろ少し増えていたりして、腹立たしい思いをした人もまた少なからずいらっしゃるでしょう。体重計を破壊して投げ捨てたくなる気持ちを抑えるためにも、あらゆる努力が無駄になったわけではないということを知っておきましょう。一見分かりにくくても、自分が思っている以上にエクササイズの恩恵を受けている可能性があるのです。

体重が変わらないように見えても、何かが違ってきているはずです。その背景について見ていきましょう。

体重は変動する

体重は自然に増減します。同じ1日の中でも2kg以上の差が出ることもあります。1 500g近い脂肪がつく場合の摂取エネルギーはおよそ3,500キロカロリーですので、たった1日でこれだけの脂肪がついたとは考えられません。体重計は目安にはなりますが、あくまでも体全体の重量を表すものであり、体脂肪とは別物です。タイミングによっては水分量が多く、それが体重計の数字に影響することもあります。必ずしも脂肪が増えたとは限りません。

減量中にも筋肉は作られる

運動をしていれば筋肉が増えている可能性が高く、それは体重計にも現れます。
体重の構成は均一ではありません。身長と体重の同じ人が二人いたとしても、見た目は異なります。これには、保水力、体組成、全体的な体形など、様々な要因がありますが、筋肉と脂肪の密度が大きく異なることが主な要因となっています。よく、筋肉は脂肪より重い、と言われますが、これは間違っています。1kgの筋肉と1kgの脂肪、どちらも重さは同じです。でも、見た目は同じではありません。例えば、1kgの綿毛は、1kgの鉄よりも物理的に大きく見えます。

自分が食べているものを把握できていますか

いつもではなくても、気付かないうちに必要以上のカロリーを摂取していることはありませんか。運動量が多ければ食事量が増えても大丈夫、と思いがちです。これは間違ってはいません。頻繁に体を動かしていると、より多くのエネルギーが必要になります。とはいえ、常に多量のカロリーを必要としているわけでもありません。間食に高タンパク食品を摂るようにすると、満腹感が長続きして減量の継続に役立ちます。2

ホールフードを食べずにいると

ホールフードとはほとんど加工されていない食品のことです。ビタミンやミネラルが豊富で、化学添加物を含有しません。リンゴ、バナナ、ブロッコリー、トマト、玄米、全卵、サーモンといったようなホールフードは栄養価が高く、体の機能を最大限に発揮するために必要なものをもたらします。一方、加工食品の多い食事は、様々な面で減量の妨げになります。まず、体内に酸素を行き渡らせるのに必要な鉄分が不足していることが多いため、運動によるカロリー消費が制限されます。3 また、ホールフードにはなく、加工食品に多用される精白糖は、肥満の原因となるだけでなく、グレリンという空腹ホルモンの分泌を増加させ、脳が満腹感を得る能力を低下させることが分かっています。3

ウエイトリフティングや筋肉に負荷をかけるトレーニングを

運動による健康効果は、多様な種類の運動を組み合わせることで最も顕著に現れます。往々にして、有酸素運動に時間を費やしていればそれで十分だと考えがちですが、ウエイトなどで筋肉に負荷をかけるトレーニングを取り入れると、より効果的に筋肉を鍛えて減量を促進できます。ウエイトトレーニングは、有酸素運動ほどカロリーを消費しませんが、筋肉の増強には効果的です。1日中、筋肉は脂肪よりも多くのエネルギーを消費するので、特に何もしていなくても、筋肉が多ければ多いほど、より多くのカロリーを燃焼することができます。4

有酸素運動

逆もまた然りで、ウエイトリフティングや自重トレーニングは身体を強くするのに最適ですが、全体的に見ると、1回あたりのカロリー消費量では有酸素運動の方が多いのは確かです。有酸素運動が体を引き締め、新陳代謝を活発にして、長期的により良い減量につながることは立証されています。5

睡眠不足のせい

睡眠不足がダイエットに直接影響することは研究で明らかになっています。それは、疲れているときに働く生物学的メカニズムによって空腹になり、手早くエネルギーを得ようとして、実際に必要な量よりも多く食べたくなってしまうからです。6 さらに、疲れていると代謝が最適に機能しないことも示されています。7 ですから、チョコレートビスケットを我慢したとしても、体はいつも通りにカロリーを消費できない状態になります。

体重は日ごと、週ごとに変動します。意に沿わず苛立つこともあるかも知れませんが、それは全く正常なことであり、心配の種にするほどではありません。健康的な食生活と適度な運動をし、十分な睡眠をとっていれば、なかなか変わらなかった体重もすぐにあるべき方向へと戻り始めます。また、体重計は自分の進歩を測る方法のひとつに過ぎません。他の手段もあることを覚えておいて下さい。毎月、各部のサイズを測って体型の変化を調べたり、服のフィット感を確かめたりすることもできます。そして最も重要なのは、どれだけ気分が良くなっているかに着目することです。

  1. https://health.clevelandclinic.org/when-is-the-best-time-to-weigh-yourself/ []
  2. https://academic.oup.com/ajcn/article/101/6/1320S/4564492?login=true []
  3. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK54103/ [] []
  4. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2980962/ []
  5. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1521691804000836 []
  6. https://link.springer.com/article/10.1007%252Fs13679-012-0026-7 []
  7. http://www.tgiscience.com/documents/Sleep%20and%20Weight%20Gain.pdf []

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