2020年
9月
24日
|
15:50
Europe/Amsterdam

赤い粒に秘められた力

読書時間: 3 分

小さく艶やかで美味しく、体にも良いサクランボ。その人気が高いのも頷けます。

事実、サクランボは世界中で愛されており、イギリスには「サクランボの日」 1 があり、アメリカでは各地でサクランボ祭りが開催されます。甘い品種もあればサワーチェリーと呼ばれる酸っぱいものもあり、好みは人それぞれですがいずれも人気です。

また、サクランボは栄養素、ビタミン、ミネラルを豊富に含むため、昔から薬用としても使われてきました。

サクランボを科学する

サクランボの深紅の果肉にはフラボノイドの一種、アントシアニン(シアニジン3-グルコシド)が含まれています。アントシアニンは多くの果物や野菜の赤色、紫色、青色の元となる色素成分です。その多くが皮に含まれ、強い抗酸化作用があることで知られています。

サワーチェリーの一種、モンモランシーチェリーの抗酸化作用に注目した最近の研究によると、この品種の濃縮ジュースには様々な効果をもたらす可能性があるということです。2

運動後の回復促進

レースに向けてトレーニングをしているサイクリストは、スポーツドリンクの代わりにサワーチェリージュースを飲むとよいかも知れません。サイクリストのグループを対象に自転車シミュレーターを使って行った研究で、モンモランシーチェリーのジュースが回復の促進、筋肉機能の維持、3 そして運動による炎症を示す特定のマーカーの低下に役立つという結果が出ました。

この研究では16名のトレーニングレベルの高い男性サイクリストを2つのグループに分けて、ひとつのグループにはモンモランシーチェリーのジュースを、もうひとつのグループには同量の炭水化物を含むプラセボ飲料を飲んでもらいました。その結果、モンモランシーチェリーのジュースを飲んだグループのほうが筋肉の機能をよく維持し、特定の炎症反応が軽減されたことが分かりました。

興味深いことに、サワーチェリージュースは筋肉が必要とする酸素の量を減らすことで運動の効率を維持したようです。チェリージュースを飲んだグループの24時間後の最大酸素摂取量はもう一方のグループよりも低かったのです。

睡眠の改善

毎日朝晩2回サワーチェリージュースを飲むと、夜間の睡眠が改善される可能性を示す研究があります。4 モンモランシーチェリーには睡眠と覚醒のサイクルを調整するホルモンであるメラトニンが含まれています。

研究によると、不眠症の高齢者がモンモランシーチェリーのジュースを1日2回、2週間続けて飲んだところ、90分近く睡眠時間が増えたということです。

1日2回サワーチェリージュースを飲んだ人は、管理された実験環境下において、毎晩1時間以上(平均84分)長く眠ることができました。

研究では、チェリーの濃縮物が不眠症の人や夜勤の人、時差ボケの人の睡眠を改善する可能性にも言及しています。

痛風の予防

モンモランシーチェリーの濃縮ジュースを飲んだ対象者の体内の尿酸値がわずか数時間で顕著に下がったという研究結果があります。5 尿酸値が高いと痛風になる恐れがあるため、この結果は興味深いものです。特別華々しい話ではないかもしれませんが、体の機能をサポートするサクランボの働きがとても幅広いことを示す一例と言えます。

小さくともパワフル

これらは最近の数々の研究で示された小さいながらもパワーを秘めたサクランボが持つ可能性のほんの一部です。これからも愛され続けるであろうサクランボをぜひ食生活に取り入れて下さい。次にサクランボが乗ったスイーツが出て来たら罪悪感を感じることなく味わえるかも知れません。

  1. https://www.gov.uk/government/news/pip-pip-hooray-its-national-cherry-day []
  2. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5872786/ []
  3. https://www.northumbria.ac.uk/research/research-impact-at-northumbria/economic-impact/studies-on-cherry-juice-unravel-a-multitude-of-health-benefits/ []
  4. https://blog.euromonitor.com/cherries-more-than-just-antioxidants/ []
  5. https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-08/wsc-ner080618.php []

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